寂しいじゃないか・・・。
相談者は、東京在住の60歳の女性だった。夫のわがままに付き合うのにくたび
れた。余生はゆっくりのびのびと暮らしたい、ある日夫婦喧嘩をしたのをきっかけ
に家出をして実家のある上越市に戻ってきた。離婚をしたいので引き受けてくれ
という。
離婚の意思も固いし、協議離婚も難しそうだ。そこで東京家庭裁判所に離婚の申
立をした。
調停当日、私と女性は、エレベーターの前で夫にばったり会った。
夫は何を言い出すかと思ったら、
「オレを一人にしてどうするつもりだ」(私-たしかにわがままな人かもしれない)
「寂しいじゃないか・・・。戻ってきてくれよ!」「お互い一人で暮らしたって寂しいだろ
う?」(私-ストレートな言葉、でも、今言っても遅いんじゃないか?)
1日目の調停はとりあえず終わった。帰り際、夫から提案があった。
「せっかくだから飯でも食おうぜ」「弁護士さんも一緒でもいいよ」
二人は、弁護士会館の食堂でうどんをすすった。断る理由もないので、私も付き
合った。
夫は「寂しい」「切ない」を繰り返した。
一週間後、女性から調停を取り下げてほしいとの依頼があった。
「夫が骨折をしたといって電話をしてきた。あの人は一人じゃ何もできない。仕方がないけど
夫の看病をしなくては」と言うのだった。
そして、女性はもとの自宅に戻って行った。本当に夫が骨折したのかどうかはわからない。
離婚の事件で、こんな経験は初めてだった。
たまには、こういうことがあってもいいか?
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