2008年1月13日アーカイブ
福岡の飲酒運転事故の判決が1月8日に出るということだったので、今度のジ
ャックランドではこれをテーマに書こうと決めていた。ところが、いざ判決をみる
と、わからないことだらけであった。
一つ目。まず、危険運転致死傷罪という条文すら読んだことがない。この法
律ができたのは、私が司法試験を受けた後のことである。弁護士になってしま
うと、新しい法律は、その法律が適用されるかどうかが問題になる事件にでも
あたらない限りは、深く勉強をすることがない。日々の仕事で忙しいからだ。
ということで、条文を読んだのも今回が始めてだ。「正常な運転が困難な状態」
とはどういうことなのだろうか?とまず考えてしまう。傷害致死罪との比較で
考えれば、単にアルコールで酔っていただけではだめなのだろう。少なくとも、
すぐにでも他人に直接危害を与える程度の運転ということになるのではないか。
二つ目。では、今回の事件は「正常な運転が困難な状態」だったのかどうか
という事実認定の問題がある。
判決は、事故の直前に左右の湾曲した道路をぶつかることもなく走行していた、
アルコール量も少なく微酔状態だった、などと言って困難な状態ではなかった
と述べている。しかし、運転者は、深夜に高速道路ではない道路を「脇見運転
をしながら、しかも時速100キロで走行をしていた」のである。どうして、脇見運
転をしていたのかということが大事かと思うが、報道された要旨だけではそれが
まったくわからない。
私達は、法律を適用することを仕事とした法律家である以上3人の子どもが
なくなったという被害の大きさだけに目を奪われてはならない。その意味では
、福岡地裁判決は、ありうる考え方であり、不当とまでは言い切れない。
しかし、結果が妥当ではなく常識に反していることも明らかである。平成13
年に新設された自動車運転致死傷罪の法定刑は7年以下である。私見だが、
この法定刑の上限を引き上げるしかないのではないかと思う。
