2008年3月 2日アーカイブ
2月29日新潟県弁護士会の臨時総会で、裁判員制度の実施に反対する決議
が採択された。
私は、地元の法律相談会のため出席できなかったが、賛同人には名前を連ね
させてもらっていた。当然この決議案には賛成だった。しかし、参加会員107名
中賛成55名ということでギリギリの可決であった。
決議に賛成の人々は、模擬裁判を実施すればするほど、こんな手続で被告人
が裁かれていいのだという感想をもったという。
例えば、新聞で報道された通り、新潟の裁判所が最近主催した模擬裁判では
被告人が心身喪失で無罪評決が出た。ところが、問題はその審理の内容で、
裁判官3名が無罪、一般の裁判員の多くは当初有罪意見だったという。それが裁
判官らが刑事事件の基本原則などを解きあかす内に一般の裁判員が考えを変え
て最終的に5対4の僅差で無罪意見が多数を占めたのだという。
弁護士たちにすれば、上記の事件は被告人が心身喪失状態であり、当然無罪
判決がでると考えていたという。ところが、裁判員らの中には「遺族の感情を優先し
有罪にした」という人もいた(私のブログ2月21日参照)。裁判員といっても法的な
判断をしてもらわないと困るのだ、というのが私たち弁護士の素朴な考えなのだ。
これに限らず、裁判員制度への不満はたくさんある。裁判員制度というのは、素
人の裁判員をある期日に集めて審理に参加させる。その裁判員のために、その期
日までに出せる言い分や証拠をすべて検察と弁護人に提出させる。審理が終わっ
た後、つまり裁判員がいなくなった後は新しい言い分や証拠の提出を原則として認
めないということを考えている。これも、また弁護士にとっては大変な負担なのだ。
そもそも、裁判というのは、起訴された事件で証拠が揃っているほど単純なもので
はない。審理を進める内に新しい疑問が浮かんできてその都度証拠を提出する必
要に迫られる。裁判官が審理を急いでも、被告人のためには弁護人として裁判官
に嫌われても出すべき主張や証拠は出さなければならない。刑事裁判というのは、
基本的にどろどろしたものである。
そういう問題がすべて切り落とされて、裁判員制度の実施のためにいいことだけが
裁判所や政府によってPRされていると、私には思える。
