2009年12月13日アーカイブ

 田沼久子役の木村多江の演技がずば抜けて光っていた。広末涼子は普通、中谷美紀もきれいだったが、演技という面で

は木村多江が一番だったと思う。

 田沼久子というのは薄幸の女性。貧しい家に生まれ、終戦直後はアメリカ軍人オンリーの娼婦になり、しばらくして石川の

寒村でひっそりと暮らしていた。偶然、娼婦時代のことを知っていたと男と再会し、同棲したが、その同棲していた男にも裏

切られ、最後は信頼していた友人(中谷美紀)にも裏切られて殺される。それでも、その友人女性に対して「私の代わりに

幸せになって」と言う。遠藤周作の「私の棄てた女」の主人公のような女性であった。この裏切られても人を信ずるというお

人好しの役を木村は見事に演じきっていた。

 松本清張の原作では、久子はどちらかというと脇役で個性が出ていなかったが、映画は久子を広末や中谷と同じくらいに

主役の一人として位置づけたが、見事に成功していたと思う。

 

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