いわゆる「共謀罪」について。
 「共謀」とは、二人以上の者が特定の犯罪を計画することを意味します。したがって、「共謀」が「罪」というのは、犯罪が実行に至らなくとも二人以上の者で計画が話しあわれただけで罰せられることを意味します。

 これは、いままでの伝統的な犯罪論体系を壊すものです。
 というのも、現行の刑法は、原則として生命や身体、財産という法益の侵害という「結果」を発生させた行為(既遂犯)、或は「結果」を発生させる畏れのある行為(未遂犯)だけを処罰の対象にしてきました。こういう決まり事にするだけでも、十分に違法行為を抑止する効果があり、社会秩序の維持としては十分と考えられてきました。また、逆に結果さえも発生しない準備段階の行為で処罰することになると、市民生活を過度に委縮させることと考えられたからです。
 そのため、犯罪の準備段階に過ぎない「予備行為」は殺人罪などの重大な犯罪にのみ例外的に認められ、共謀は罪として認められてきませんでした。
 今回共謀罪の対象となる犯罪類型は600を超えるといいます。「殺してやりたい(くらいの気持ちだ)」と言っただけで処罰されることになるわけですから、何とも怖い話です。

 今回の「共謀罪」は、2020年の東京オリンピックを見据えて国際的なテロに備える法整備が必要だという背景があるようです。テロというのは暴力を行使することですが、日常的には無差別殺人行為の意味に私たちは受けとめていますよね。
テロを未然に防止したいという立法理由はわかりますが、現行法においても「殺人予備罪」「内乱予備陰謀罪」「凶器準備集合罪」「身代金目的誘拐予備罪」があり、十分対応できると思います。

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このページは、馬場秀幸が2017年1月20日 07:10に書いたブログ記事です。

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