Jack Land 相談室 上越エリア情報誌 ジャックランド

扶養義務者がいると、生活保護を受けることはできないのでしょうか。

扶養義務者がいると、生活保護を受けることはできないのでしょうか。

生活保護と扶養義務との関係

生活保護は、「生活に困窮」しているのであれば、誰でもその保護を受けることができます。扶養義務者がいるかどうかということは受給開始の要件にはなりません。

確かに生活保護法は、「扶養義務者の扶養は、この法律による保護に優先して行われるものとする」と定めています。しかし、扶養義務を負うとされる側にも自分自身の生活があり、自分の生活までを犠牲にすることはできません。そのため、扶養義務の内容というのは、成人した子が高齢の親に対する扶養の場合であれば、自分の生活に支障が生じない限度で親に対して援助をすればいいことになります。そのため、「優先」の意味は、親族がお金を援助してくれるのであれば、生活保護の支給よりもそちらを優先してほしいという意味に過ぎず、生活保護を受けられないという意味ではないのです。

河本準一の生活保護騒動

今回問題になった河本の事例の場合、不正受給と言われるような問題はありませんでした。

マスコミは、河本が売れっ子芸人になり、十分な収入を得るようになったにも関わらず、母親が生活保護を継続していたことを問題視しているようです。しかし、福祉事務所は、必要と判断すれば被保護者の扶養義務者に対して、既に支払いをした保護費の返還を求めることができます。また、記者会見で河本は、福祉事務所と母親の生活保護について協議をしてきたとも言っていました。この話からすると、福祉事務所としても格別問題視していなかったものと思います。にも関わらず、金持ちのくせに扶養義務を果たさない河本がすべて悪いというのは、かなり一方的な乱暴な議論だと思うのです。

扶養義務の強調は時代に逆行する

今回の事件を機に、小宮山洋子厚生労働大臣は、生活保護受給者の親族が受給者を扶養できない場合、親族側に扶養が困難な理由を証明する義務を負わせるように制度改正をする意向を示しました。

しかし、生活保護を受けること自体、親族に知られたくないと思う人は多いはずです。また、家族からの虐待や暴力などから逃れて一人で暮している人もいます。親族が扶養できないことの証明まで要求しようとするのであれば、生活困窮者が生活保護を受ける途を事実上閉ざすことになりかねません。