Jack Land 相談室 上越エリア情報誌 ジャックランド

預金口座に振込まれた年金を、税務署に差し押さえられてしまいました。年金は差押禁止ではなかったのでしょうか。

預金口座に振込まれた年金を、税務署に差し押さえられてしまいました。年金は差押禁止ではなかったのでしょうか。

差押とは?

差押とは、AがBにお金を貸したが返済をしてもらえない場合に、Bからお金を回収するために、Bの財産について事実上或いは法律上の処分を禁止することです。例えば、Aが差押えたBの財産が銀行預金だとすると、銀行はBが払い戻しを要求しても、Bに預金の支払いをすることはできなくなります。そして、Aからの取立要求があると、銀行はその要求に従ってBの預金をAに渡さなければなりません。

なお、このように差押・取立ができるのは、裁判による判決や和解などで確定した権利に限られます。債権の存在が間違いないと認められた場合に限って、このような他人の財産を一方的にお金に換えて回収する力が与えられるのです。

差押が禁止される債権

ただし、差押が禁止されている財産もあります。例えば、給与は会社が従業員に対して支給する金銭債権ですが、その4分の1しか差し押さえることができません。これは、給与が労働者の生活の糧であり、全額差し押さえられると生活に支障が生ずると考えられているからです。

これと同じような理由で、国から支給される国民年金なども、その全額について差押が禁止されています。

差押は有効、しかし不当

ところで、銀行預金の差押に法律上は何ら禁止規定がありません。

しかし、国から年金が銀行の預金口座に振込まれた当日に、預金債権が差し押さえられた場合はどうなのでしょうか。預金とはいっても、その原資は実質上年金です。年金債権の場合には差押禁止なのに、銀行に振込まれた途端に預金債権となり、全額差押可能となるのは実質的には不合理です。

裁判所は、このような場合でも差押を有効と考えていますが、場合によっては明らかに年金の原資だと認められる金額については、差押を禁止してもよいのではないでしょうか。

最近では、福島原発の被災者が、東電からの賠償金が振込まれた当日に、社会保険事務所がそれを差押えたということがありました。被災者に支払われる義捐金、支援金、災害弔慰金については法によって差押が禁止されていますが、東電の賠償金についてはされていなかったのです。しかし、被災者の生活補償のためのお金が差押さえられてしまうのもおかしく、差押を禁止するなどの立法措置が必要でしょう。