Jack Land 相談室 上越エリア情報誌 ジャックランド

高速バスの事故の再発防止のために、どういう事実に着目すればいいのでしょうか。

高速バスの事故の再発防止のために、どういう事実に着目すればいいのでしょうか。

バス運転手、運行会社の責任

まず、事故を起こしたバス運転手の疲労の度合いです。同運転手は「疲れていたので何度もブレーキを踏んだ」と供述し、乗客も同運転手が「休憩中、ハンドルにもたれかかって寝ていた」のを目撃しています。そのため、疲労が蓄積していた疑いが濃厚です。少なくとも、事故当日までの1週間どのような労働をしていたのか、休憩は十分取られていたのかの調査が不可欠です。

これに関連しますが、バス会社「陸援隊」は、同運転手の健康を適切に管理していたのでしょうか。道路交通法は、使用者には、運転者が十分な休養を取らず、正常に運転できない恐れがある状態で運転することを、命じたり容認したりすることを禁止しています。また、道路運送法は、運転手の短期雇用を禁じています。日雇いや短期雇用は、運転手への継続的な指導や健康管理ができず、旅客の安全を脅かす可能性があるからです。

ところが、「陸援隊」の社長は、同運転手の雇用形態が「人手の足りない時だけ依頼していた」、つまり、実質的な日雇いであったと述べています。また、500キロ以上の長距離で夜間の運行であったにも関わらず、同運転手の一人体制で、交替要員はいませんでした。そのため、安全面を軽視していたとの非難は免れないでしょう。

規制緩和を推進した国の責任

次に、このような違法業者を野放しにしてきた国側の事情も、あらためて考え直す必要があります。

貸切バス事業の分野は、2000年に規制緩和によって、免許制(地域でバスを増やす必要が生じた時にだけ新規参入を認める)から、許可制(免許制を改めて条件さえ整えば参入できる)になりました。2002年にはツアーバス事業も解禁され、その結果としてバス事業者が激増しました。しかし、事業者の急増はいわば買い手市場となり、旅行会社との間の交渉力を低下させます。そのため、規制緩和以後のバス会社の運賃単価は大きく下落していきました。その結果、しわ寄せが労働者の賃金切り下げや、待遇悪化につながっていったのです。

本来、行政は旅客の安全の観点から監督をしなければならないはずですが、事業者が激増したために、安全面の監査が行き届かなくなっていたといわれています。

規制緩和による経済優先のツケが、交通の安全を脅かしています。新規参入業者の規制や、運転手の働き方の規制を強化する方向での対策が急務です。