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ココラ58回目 借家権と新所有者との関係

借家に住んでいる者ですが、借家を買い取った方(新所有者)から、賃料の値上げをしたい、拒否するのであれば退去してほしい、と言われてしまいました。私は、新所有者の要請を拒否することができないのでしょうか。

借家権(建物に居住する権利)は、従前の所有者(旧所有者)との間でした建物賃貸借契約に基づくものです。契約に基づくものである以上、借家権を主張できるは本来契約の相手方である旧所有者に対してのみなのですが、実際に居住しているという事実があれば、その借家権を第三者(この場合は新所有者)に主張することができます(借地借家法31条1項)。したがって、新所有者があなたを退去させることは法律上できません。
 そして、新所有者はあなたと旧所有者との賃貸借契約関係をそのまま承継することとなります。したがって、契約期間内であれば立退きを求められても当然あなたは断ることができますし、賃料の値上げについても拒否することができます。所有者が替わる都度、契約を変更されたり退去を求められたりするのではたまりません。借家人が安定した生活ができるように、法律は借家権の保護をしているのです。
 なお、建物所有者が交代した場合、新所有者が新しい賃貸借契約書の作成を求めてくることがよくあります。しかし、上記に述べたとおりあなたには従前の賃貸借関係に基づいた借家権を主張できます。契約書を作成するにしても、契約書の中身はきちんと読んで、従前のものよりも内容が不利益になっていないかどうか確認することが必要でしょう。