Jack Land 相談室 上越エリア情報誌 ジャックランド

検察審査会

検察審査会って何ですか。

【検察官の仕事をチェックする】

 刑事事件の被疑者を起訴するかどうかを決定するのは、検察官だけができる仕事とされています。しかし、検察官も人間ですから、社会常識とかけ離れた判断をしてしまうこともあります。そこで検察官の事件処理が誤っていないかどうか一般の国民が審理するのが検察審査会です。

 検察審査会は、くじによって選ばれた11人の市民が構成員となります。特定の事件につて、検察官が不起訴にした場合でも、被害者が審査会に不服を申し立てると、その不起訴処分が妥当だったかどうかについて、審査会で議論されます。審査会が「不起訴不当」と議決すると、検察は再度捜査をして結論を出さなければなりません。

 ただし、従来であれば検察が不起訴の結論を最終的に維持していた場合は、検察の判断が優先され、事件はそれで終了となり民意の反映が中途半端のままになっていました。

 しかし、昨年法律が改正され、審査会が「起訴相当」を2度連続して議決した場合、裁判所が指定した弁護士が検察官に代わって起訴できるようになりました。

【審査会の権限強化の是非】

 このように権限が強化されたため、審査会は注目を集めるようになってきました。鳩山首相の政治資金規正法違反事件は不起訴相当で決着が着きましたが、小沢幹事長の場合は「起訴相当」となり、検察庁は再度捜査を余儀なくされました。仮に検察庁が再度不起訴処分をしても、審査会が再び「起訴相当」とすれば、小沢幹事長は起訴されることになるのです。

 検察審査会の権限強化については、検察官という法律専門家の結論を簡単に覆してしまっていいのか、公訴提起によって「有罪」というレッテルを貼ってしまっていいのではないか、との疑問も提起されています。

 しかし、素人がクロと考える一方で専門家である検察官がシロと考えるような事件について、起訴されないまま闇に葬られるのと、起訴により公開の審理を経て結果として無罪判決になるのと、国民はどちらのプロセスに納得するでしょうか。私はとにかく事件を国民に明らかにする後者を選択します。

 また、そういうグレーな事件であれば、起訴されたからといって「有罪間違いなし」ということにはならないし、身柄拘束もされないでしょう。被告人の負担も、検察官が起訴する場合ほど重くはないはずです(2009年5月11日記)。