Jack Land 相談室 上越エリア情報誌 ジャックランド

賭博罪

 賭博はなぜ悪いのでしょうか。

【労せずして利益を得るのが賭博】
 スポーツやマージャンなどの勝負事にお金を賭けることを賭博といいます。
 私たちは、労働をしてお金を稼ぎます。しかし、賭博の場合は偶然の勝敗で自動的にお金が動きます。つまり、汗水を流さずに安直にお金を稼ぐこともできるわけです。だからついついのめりこんでしまいますし、儲かればいいですが、大損することもあります。このように労せずして利益を得ようとする風潮が広がることは社会的に決して望ましいことではありません。だから、賭博は反社会的行為とされているのです。
 例えば、琴光喜関は野球賭博で勝ったことで500万円の勝ち金を請求していたそうですが、民法上この請求は無効です。つまり、相手にそれを支払義務はありません。なぜなら、賭博は反社会的行為であり公序良俗に反しているからです(民法90条)。
 また、負債が多くて破産した人が借金の支払を免除してもらえる制度を免責といいますが、借金をした事情が賭博にあれば、その破産者には免責が認められません。賭博をするために借金をして結果的に債権者に迷惑をかけたわけですから、当然といえば当然です。

【賭博は罰せられることもある】
 賭博は、刑事罰の対象にもなっています。賭博をしただけで50万円以下の罰金に処せられますし、常習性が認められれば、3年以下の懲役に処せられます。例えば、大晦日に家族で花札で小額のお金を賭けて遊んだけでも理屈としては刑事罰の対象になるのです。
 ただし、賭博を刑事罰の対象にまですることには反対の意見もあります。なぜなら、賭博によって身を滅ぼすのは賭博をした者であり、賭博それ自体が他者に危害を加えるものではありません。たしかに、賭博は社会的に好ましいことではありませんが、それだけで刑事罰という重い制裁を加えていいとは思えないからです。また、パチンコ、競輪、競馬、競艇なども実質的には賭博ですが、特別法によって適法とされています。しかし、賭博ということで共通であるにも関わらず法律で許されるものとそうでないものとがあるというのも説明がつきません。
 私も、賭博が好ましいとは思いません。しかし、人間の性として賭け事にのめりこんでしまうということも真実です。だから、賭博は学校教育などを通じてコントロールされるべきであり、刑事罰まで加えることには違和感を覚えます(2010年7月11日記)。