免責が認められない場合には、破産申立をする意味はないのでしょうか。

2018.10.28

免責が認められない場合には、破産申立をする意味はないのでしょうか。

個人が破産申立をするのは、免責決定を獲得して既存の借金の支払いを免除したいからです。そうすると、免責不許可事由が認められる場合には破産申立をする意味がないようにも思えます。
過去の相談事例にも、買物依存症で多数のクレジットカードを利用して限度額いっぱいまで利用して次々に化粧品や洋服を買い込んだ人がいました。しかし、このような場合にも、仮に免責決定が得られないとしても破産の申立をする意味はあると思います。
一つは、破産手続により、債権者に対して説明責任を果たすことができるということです。債権者に浪費や詐術を原因とした信用取引がある事件の場合には、裁判所は、産者にこれといった財産がない場合でも破産管財人を選任し免責不許可事由を調査させ債権者が参加できる財産状況報告集会の開催もします。そのため、なぜ返済することができずに破産するに至ったのかという事情について、ある程度債権者も知ることが可能となります。これで債務者は、道義上の責任を一応果たすことができます。逃げたままであれば、いつまでも良心の呵責が心に残ります。それよりも潔く事情を説明してわびた方が、気持ちも落ち着くというものです。債権者も、逃げられるままよりは、事情の説明を受けた方が、少しは許してやろうかという気持ちになるのではないでしょうか。
二つは、免責が認められなくとも破産手続開始(=支払不能状態)という事実によって債権者の破産者に対する債権につき損金処理することが可能となります。損金処理が可能であれば、債権者にとっては回収する必要もなくなります。だから事実上債権者の取立がなくなることは確実です。