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ココラ71回目 同居義務

家出をした妻に対して家に戻るように法律で命令をすることはできますか。

夫婦には同居し、互いに協力し扶助しなければならない義務があります(民法752条)。したがって、夫が家庭裁判所に申立をすることはできますし、夫の主張に理由があれば家裁が同居を命ずる審判(家裁の判断を「審判」と言います)を出すことになります。
 ただし、仮に裁判所が同居を命じても妻がそれに応じない場合、強制執行をすることはできません。夫婦の義務は愛情や信頼に基づくものであり、強制執行にはなじまないからです。
 また、夫婦間で共同生活の前提となる愛情と信頼とが既に失われているような場合には、仮に同居を再開したとしても互いの人格を傷つけたり個人の尊厳を損なう結果になるので、審判をする意味がないとして申立を却下した事例もあります。
 結局、裁判所が同居を命ずる決定をしたとしても、法の力に頼ることはできず妻が同居するかどうかは妻の気持ち次第ということです。これは当然といえば当然です。夫婦の生活は相互の信頼に基づく人格的な共同作業です。強制力に頼ることはできないのです。
 では、どうしたらいいのか。自分で考えて解決するしかありません。でも「家出した妻が悪い」と考えるのは愚の骨頂です。理屈ではないのです。妻の家出の原因は何なのかを考えて、妻が戻ろうかと思い直すような言葉を自分で見つけてみてください。