破産の場合には学資保険を解約して配当しなければならないのでしょうか。

2018.10.28

学資保険を解約すると200万円程度になってしまいます。破産の場合にはこれを解約して配当しなければならないのでしょうか。

保険は、現金でもないし差押が禁止されている財産でもありません。したがって、原則として破産財団に属する財産であり破産管財人による換価及び配当の対象となります。しかし、破産者の子どもが将来高校や大学に進学するような事情が認められる場合、その200万円を債権者に配当することには躊躇を覚えます。なぜなら、子どもにまで親の経済的な破綻の責任を及ぼす必要はないと考えるからです。そこで、破産者の個別の事情に応じて、破産財団に属するはずの財産を破産者の自由に処分できる財産に変更できる制度が破産法では認められています。これが自由財産の範囲の拡張の裁判という制度です(破産法34条4項)。
自由財産拡張の裁判は、破産手続開始の決定が確定してから1ヶ月を経過するまでの間に、破産者の申立又は裁判所の職権により、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することの決定を裁判所がすることとされています。この決定にあたっては、破産者の生活の状況、破産手続開始のときに破産者が有していた自由財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情が勘案されます(以上につき破産法34条4項)。また、破産管財人が破産者の具体的な財産状況を調査して裁判所に拡張を認めるべきかどうかを意見することとなっています(同条5項)。