十日町シネマパラダイスのこと その2 「まずは観てから」
シネパラは、2018年6月、靖国神社を題材にした映画「靖国 YASUKUNI」を上映した。一部政治家や政治団体が「好ましからざる映画のレッテルを張り、上映を中止する映画館も出た。シネパラにも「なぜ上映するのか」という電話がきたが、岡元さんは動じなかった。「映画館はまず、映画を見る機会をつくることが大事。作品への評価は観客が判断するもの」と信念を貫いたという(新潟日報2019年8月7日付)。
「まずは観てから」
表現行為にかかわる人たちにとっては基本である。言論や芸術はまずはその受け手に読んだり鑑賞してもらわないと本当の価値はわからない。だから、表現内容を事前に抑制することはあってはならない。
しかし、表現の不自由展の顛末を見ていると、そんな基本的な考えすら理解されない世の中になってきた。権力の意に沿わない表現は排除されるのが当然ということなのだ。だからこそ、岡元さんが地元に残した仕事は偉大だと思う。シネパラは閉館してもまた新たな映画館が作られてその遺志が後の人たちに受け継がれていくことが大事だと思っている。