雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

大村秀章 表現の自由を水際で守ってくれた人

2019.12.30

 今年は、憲法上の人権である「表現の自由」が安倍政権から極めて露骨に攻撃された年だった。そして、それに抗う揺るぎない人たちがいるというのもわかった。
 愛知県知事大村秀章さんは、「表現の不自由展・その後」の中止を決めながらすぐに再開をして芸術表現の自由の重要性をまさに水際で守ってくれた人の一人だった。もともと知事になる前は自民党の衆院議員だった。ただ、自身は竹下登、小渕恵三らから薫陶を受けた保守本流の政治家と自任し、自身の動きも当たり前のことだったと振り返る。以下は朝日新聞のインタビュー記事。
 「日本国憲法ができて70年余り。僕の考えているような話は日本では議論の余地のない、当たり前のことだと思ってきました。しかし一部の政治家やネットの批判から見えたのは、そうではなかった現実です。驚きがありました。」「分断社会は日本が目指すべき社会ではありません。分断ではなく社会の『統合』に役立つ政治を育てていく必要があります。異なる立場の人々が互いを否定せず共存できる、懐の深い市民社会を目指すべきです」(2019.12.24大村秀章「不自由展への介入公的な催しゆえに憲法上許されぬ」)。

 そうは言っても現政権に単純に同調しないのはどこから来ているのだろうと不思議に思う。朝日新聞の記者は大村さんの小さい頃に犬に噛まれたエピソードを聞き出した。
—-2歳のころ犬にかまれて顔に傷痕が残ったことで、小さいころいじめられたそうですね。
 「子どもは、見た目が違う子をいじめますよね。今でこそ傷が大分癒えていますが、小さいころは顔じゅう縫い目だらけだったせいか、『縫い目』とか『フランケンシュタイン』とも呼ばれていました」「呼んだ方は忘れちゃうんですが、言われた方は覚えているんです。痛いから。悲しいか。世の中には、やられた者でないと分からないことがあります」
 小さい頃の被害者体験。そういうものをひきずりながら大人になった人なのだ。他の保守政治家にもこういう人はいないのだろうか?絶滅危惧種になったのか、それとも言いたくても言えないで悶々としているんでしょうか?

馬場秀幸  カテゴリー:その他