為政者が「身の丈」でいいなんて言ってはいけない。
離婚調停での話だ。
女性が、子の大学進学にあたって、本来は親が学費を用意しなければいけないのに、資産がないために子に奨学金を借りさせてしまったと涙を流しなら後悔の言葉を話していたことがある。ボクは、教育は国の政策であり、子どもに借金をさせたことを自分の責任であるかのように感じるのは間違っている、と彼女に言った。でも、多くの親は、子育てや教育は親「だけの」責任と思っている。
ボクは近代公教育制度というのは、こういう切ない思いをする親を一人でもなくすこと、できる限り子の希望に沿った教育を施すことだ、と思うのだ。ところが「身の丈に合わせて」というのは、「分相応」という意味で経済格差やそれに伴う教育格差を放置するという意味である。
為政者は「身の丈に合わせて」なんて言ってはいけない。公選法に違反して辞職した大臣よりも、文科大臣の発言の罪は重い。憲法26条の意味がわかっていないんだから。