相続:作成してよかったという遺言書もあったなあ。
遺言と言えば、臨終の間際に男性から遺言書を作成してほしいという依頼もあったなあ。
その男性には兄弟姉妹がいたが、関係が良好ではなかった。そのため、長年連れ添ってくれた女性に全財産を渡したいとのことだった。
病院で面談をしたその日のうちに遺言書を作成した。
翌日、彼は永遠に旅立った。兄弟姉妹は相続人だが遺留分の権利がない。そのため、遺言書によって女性が全遺産を相続した。
結果的に死の直前の遺言書になってしまったが、この男性の行為能力に問題はなくペンをもって字が書けた。それでも作成過程について疑問を投げかけられるかもしれないと思って、遺言書を書いている状況を写真で撮影しておいた(自筆証書遺言というのは、後日その作成について争われる場合があるから、その作成過程が問題ないことを立証することためにどうしたらいいのかを考えながら作成する必要がある)。
倫理的にどうなのと言われるかもしれない。たしかに、死の1日前に男性のすべての遺産がその女性に渡されたことになる。しかし、この二人、交際していた期間は30年余りになっていた。結婚していなかっただけなのである。むしろその女性が取得して当然といえるものだった。