10月19日 愛の力に助けられて
これは仕事の話である。
離婚事件などお互いにいがみ合っていてひっこみがつかなくなるときがある。相手が謝罪しない限り徹底的に闘うとか、〇〇〇万円を慰謝料として支払ってもらわないと和解しないとか。まあ、事件になるにはそれなりの事情があり、そこから生まれてくるお客さんの感情も理解はするのだけれど、下世話な言い方をすると裁判実務や常識などでできあがってきた「相場」というものがあり、無理を言ってもお客さんの希望は通らない。代理人はそのお客さんの感情と相場のはざまで呻吟することになる。
あるとき、お客さんが闘いの意欲をトーンダウンしてくれたり、もういいから解決してくれと言ってくることがある。
事情を聞いてみると、別の方とお付き合いしているんで争うのがバカバカしくなりました、ということがある。ボクは「愛の力」と呼んでいる。愛されているという気持ちが、自己を客観的に見つめなおす力につながり、闘争意欲をトーンダウンさせて、その人の気持ちを事件解決する方向に導いてくれるのである。
こんな愛の力に助けられたことが何度かあった。