3月20日 ロシアのウクライナ侵攻から考える④ ロシアが侵攻した原因は何?
はっきりしているのは、米ソの冷戦終結後、ソビエト連邦が解体したのに、米国側はNATOの東方拡大を目指した。ウクライナがNATO加盟を宣言するに至ってプーチンの堪忍袋の緒が切れた、ということだ。
プーチンの苛立ちはわからないが、ウクライナの主権を踏みにじることは明白に違法である。ウクライナ東部のロシア系住民がウクライナ政府から迫害を受けていたことを理由に侵攻したが、戦争がその住民らを守る自衛権の行使であってもそれは必要最小限度でしか認められない。ウクライナ西部や首都キエフを攻撃することは過剰防衛と言わざるを得ない。プーチンの武力行為の違法性は明らかである。
ただし、NATOのロシアを仮想敵にして勢力圏を拡大していったことは、いたずらにロシアを追い込んだとしか思えない。ウクライナがNATOに入らないことを相互で協議できるのであれば、紛争は終結の方向に向かうのではないか。また、この戦争の後の世界は、仮想敵を前提とした勢力争いをするのではなく勝者も敗者も共存できるような体制を作りあげることが必要だろう。