お雛様や雛飾りは、我が家にはなかったし親戚や友人の家で見かけることもなかった。ひな祭りの日にちらし寿司をつくって貰う程度のものだった。テレビやデパートの華やかな世界でお目にかかるもので、私たちの小さかった頃まではきっと町家の裕福な方々のものだったのではないかと思う。
娘が生まれて、義理の母親からお祝いに豪華な雛飾りをいただいた。ところが、大きすぎて雛祭りの日のためだけに飾るのも難儀になった。娘たちも大きくなったこともある。その代わり、事務所に小さな雛を飾っている。義母の気持ちだけはいつまでも忘れないようにしていたい。