5月13日 アカデミー賞作品賞の『ノマドランド』を観る
主人公は60代のファーンという女性。かつて夫とともにエンパイアという西部の街の石膏を採掘する会社の社宅で生活をしていた。しかし、夫に先立たれ、不況のあおりで会社が閉鎖され、町も閉ざされてその町から立ち退くことになった。ファーンは、夫の思い出をキャンピングカーに詰め込んで車の旅を続ける。夜は車の中で眠り、昼は、たどり着いた町にあるアマゾンの配送センターで働いたり、国立公園で清掃の仕事をしたりして生活費を稼ぎ旅を続ける。
このファーンのように、家がなくRV車で寝泊まりし旅を続ける人たち(現代の遊牧民(ノマド))がアメリカで増加しているらしい。
仕事もなく家もなくしたさすらいの旅人なのだから、ホントのところは切ない状況なのだろうが、映画は、悲しみを引きづりながらも、前向きに生きるファーンという女性をたくましく描いている。肉親である姉や、出会った友人男性からの「一緒に暮らそう」という誘いも断って、一人であることを選んで旅を続ける。そして、一人でありながらも、旅先で出会った人には気軽にコーヒーをあげて話しかける。悲しくてもそれをひきづってメソメソすることがない。肉親や知人友人との付き合いも、親しい仲にも礼儀ありでとてもサバサバしている。マネしたくなる生き方である。まだ、上越MAXシアターで5月27日まで上映中です。是非ご覧ください。いい映画です。