7月1日 二人きりの食事

二人きりで食事をした。親父と私。
いろんな事情が重なって、夕飯は二人きりになってしまった。
親父は料理をしたことがない。いや、しているのかもしれないが、私は彼の食事を食べたことがない。そして、私も料理をしたことがほとんどない。
それで、弁当を買ってきて、テーブルで向き合って二人で食べた。二人きりで食事をしたことなんていつが最後だったろうかと考えてしまうくらい、記憶がない。
親父がいきなり「腕を見てくれ、細くなっただろう」と言って両腕を私の前に差し出した。
たしかに、91歳の老人の腕は細く、両腕から血管が浮き出ていた。
親父は、その腕で目の前にある弁当のご飯をつついた。
話すネタは他には何もなかった。あっと言う間に終わってしまった。