雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

8月30日 アベガーの言い分 鈍感と冷淡

2020.08.30

 アベガーとは、安倍総理が何かするたびに難癖をつける人のことをいうそうだ。
 私もその一人である。別に恥ずかしいとも思わない。なぜアベガーだったのか理由を記しておきたい。
 安倍政権での出来事で強烈だったのは、森友学園問題での公文書改ざんだ。事件を振り返る。
 2017年2月17日、安倍は国有地が森友学園に安く払い下げられたことについて、「私や妻が関係していれば首相も国会議員も辞める」と発言した。そして、同月24日、その当時の佐川理財局長も「(与党議員などの)不当な働きかけは一切なかった」と答弁。しかし、その直後から近畿財務局は決裁文書の改ざんを始めた。この改ざんの実態は、1年後の2018年3月2日に朝日新聞が報道して初めて明らかになった。
 なお、朝日新聞の報道後、近畿財務局の職員だった赤木さんは自殺。遺書には上司からの指示を受けて改ざんをした、との内容が綴られていた。
(私が許せないと思うこと)
 当時の経緯からして、大見えを切ってしまった安倍が野党などから追及を受けても批判をかわすことのできるように財務省職員らが公文書を改ざんしていたことは明らかである。改ざんは安倍を助けるために行われたのであり、安倍が責任を取るべきだったのである。ところが、安倍政権は、公務員が勝手に「忖度」をしたことにした。
 しかし、法律的な常識からすれば、部下が上司を忖度しようがしまいが、部下の犯したことについて上司は責任を負わなければならない。特に公文書を改ざんしたとすれば、その原因となった安倍も、上司である財務大臣も、辞任するのが当然だろう。
 でも、そういうことにはならなかった。悪いのは安倍ではなく「忖度」をした公務員であり、改善するべきは公文書管理であるとして、いつのまにか責任が安倍から公務員一般にすり替えられてしまった。この責任転換というか議論のすり替えというのはお見事という他ない。しかも、この改ざんにより赤木さんが自らの生命を断ってしまっている。これについても、申し訳なかったらしき言葉を安倍からも麻生からも聞いてはいない。冷淡というか鈍感というか。
 最後の辞意表明でも、安倍は、公文書の廃棄・改ざんを問われて、「公文書管理についてはルールを徹底していく、国会において相当長時間にわたり答弁した」とだけ述べていた。責任という言葉に鈍感であり、人の情けには冷淡である。こういう人に政権をとってほしくないのである。

馬場秀幸  カテゴリー:その他