9月28日 今日は国選刑事弁護の話をします。その3
国選弁護の報酬は、私たちの一般の報酬に比較すれば高いものではありません。だから、割に合わないといって国選弁護の業務をしない弁護士は多い。
しかし、前回書いたように、出会いもあれば自分を顧みることもできる。それから、真面目に仕事をすれば、その被疑者や被告人が後で別の事件を事務所に持ってきてくれることもある。そもそも、刑事事件をする背景にはそれなりの他の人とはいえない事情を抱えていることがある。実際、被告人で刑事事件が終わった後に離婚事件、債務整理、などを依頼してくれたことがある。
また、滅多にないことだが、こういうこともあった。いろいろな事情があってながく警察に拘留されていた被告人がいた。その期間中、その被告人の部屋には別の被疑者や被告人が入ってきて、事件が終了すると去っていく。その間、「自分の弁護士は接見に来てくれる」「なかなか話が通じない」など、収容された者同士でそれぞれの弁護人のことが話題になる。私の担当していた被告人が、私のことを同房の仲間に宣伝し、その仲間の方々が警察を出てきた後に、刑事事件以外のことで相談に来てくれたこともあった。
弁護士の場合は、一つの事件をきちんと解決することは、営業に繋がる。口コミである。それは、地味な国選弁護事件にもいえることである。