9月29日 NHKドラマ『あなたのブツがそこに』を観る その4
亜子(仁村紗和)の元夫菅原裕二(平埜生成)は、亜子にとってはもう二度と会いたくない男である。ところが、娘咲紀(毎田暖乃)にとっては父親であり、最近近くの公園で知り合いバドミントンを教えてくれるいいオッサンであった。コロナ禍の夏休みの咲紀の日記帳には毎日のように「ばどミントン」のおっちゃんと遊んだことが書かれていた。
亜子もその母親も、咲紀に、裕二には辛い思いをさせられたから会わせたくない、と伝える。しかし、咲紀は「(会わせたくないのは)咲紀のためじゃない、お母さんのためじゃん」と反発する。
そう、この話(21回目~最終回)の話題は面会交流なのだ。もともと面会というのは矛盾の最たるものである。できれば離れたくて別れたはずなのに、自分の愛する子をその会いたくない人に会わせなければいけないのだから。面会交流に確かな答えなんてなく、当事者たちが答えを作りあげていくしかない。
結局、亜子は、元夫の裕二にも、咲紀にも、「咲紀が大人になって会いたいと思ったら会えばいい」「会ってあげて」と伝える。「大人になって」と限定づけるところに疑問をもつ人もいるだろうが、それはそれで一つの答えだと思う。裕二が亜子に告げられて、捨て台詞を吐きながら、それでも前に咲紀からもらった黒飴を握りしめていたところに、製作者は希望を遺してくれていたように思う(ただし、現実はドラマみたいに美しくはないが)。