雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

9月30日 木村草太さん「家事分担で得た生活者の目線」を読む。

2021.09.30

 憲法学者の木村草太さんのエッセイがステキでした(朝日新聞2021.9.27木村草太「家事分担で得た生活者の目線」)。
「妻は離婚を視野に入れているのだと感じ、生活を切り替えなくてはと思った。」
 妻がある日の散歩中に、夫婦が離婚する外国映画のことを話題にしてきたときの木村さんの感想です。凄いなあと思いました。どこが凄いのかというと、相手の思いを感じ取るアンテナが敏感なんだなあと。それから、そこで離婚されないために意識を切り替える。なかなかできません。
 そこで、木村さんは生活を見直し、仕事の効率を見直して、保育園の送り迎えなど家庭に割く時間を増やした。ただし、それでいいというわけではないと木村さんはいう。「ただ、家事の時間を増やすのはスタートラインだと思っておかないと、男性がいばるための免罪符になってしまう。やった上で、どこまで子どもの話を聞いているか、妻と目が合うか、そういうことが、家庭生活をちゃんとやれているということではないでしょうか。心が大事と思っています。」
 私は、イクメンしましたと言っている男性の自画自賛的な記事がいつも苦手だった。それはおそらく、「男性がいばるための免罪符」という匂いがプンプンしていたからだろう。ここでも、男のイヤラシサを「免罪符」とストレートに表現する木村さんの分析力はスゴイと思った。
 最後に木村さんは次のように指摘している。
 「「昨日までニコニコしていた妻から急に離婚を切り出された」というような男性もいますが、それは夫側のストーリー。妻は、本音が言えないから穏やかそうにしているだけで、見えている世界が全然違うということがあるんですよね」熟年離婚で妻から離婚を切り出されてうろたえる男性なんてまさにそうなのでは?家庭生活には日々の自己研鑽が必要である。

馬場秀幸  カテゴリー:書籍・映画