「親権」は「親の権利」っていいますが、そう単純ではないんです
「親権」はどういう意味ですかと聞かれたら、「親の権利」と答えていますが、そう単純ではないんです。
親は、子の身の回りの世話をしたり、財産を管理したり教育に携わる。ただし、憲法的な観点からいえば子も親も等しく「人間」として尊重される主体です。親が自分の気ままを子に押し付けたり、親の利益のために子を犠牲にすることはあってはならないことです。だから、「親権」は未成年の子の利益のために親が負う義務です(川島武宜『家庭の法律』(改訂版)86頁)。
親権者だからといって子に対してなんでもできるとか思っている親を見ることがあります。そういう親には、親権の行使が「子の利益のために」行われること(民法820条)、「親権」の実態は、子に対する権利ではなくて義務でしかないことをわかってほしいと思います。