亀石倫子 新田匡央「刑事弁護人」を読む。
亀石弁護士はGPS捜査の違法性を最高裁に認めさせた刑事事件の主任弁護人。今年の参議院議員選挙では大阪選挙区で立憲民主党の候補として闘った人でもある。
この本は若手弁護士たちが裁判所や検察という国家権力に論戦を挑みみごとに勝利した成功物語で面白かったのだが、本筋とは関係ないところで成程と思ったことがあり、それを紹介する。
亀石弁護士が所属していた大阪パブリックは刑事事件に重点を置く事務所だ(名前は聞いたことがある)。この事務所の方針としては、接見室で被疑者が入ってくるまで、弁護人は椅子に座らず、立ったままで待ち、留置管理官が被疑者を連れて入って来たら、弁護人の方から「よろしくお願いします」と語りかけて被疑者が座るのと同時に自分も座ることにしているだという。先に弁護人が座ってあいさつをすれば、それだけで厳然たる上下関係が形成される。一旦上下関係が形成されると被疑者が腹を割って話してくれなくなる。だから、これは信頼関係を構築する上での決まりごとだという。
接見室での作法なんて今まで考えたこともなかったからこの指摘は新鮮だった。早速真似ようとまでは思わないが、話しやすい環をつくるという姿勢は見習いたい。自分が接見で心がけているのは被疑者も自分も人としてイコール(同じ)ということだ。たぶんそんなに違わないかもしれないが。