雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

債務整理は誰のため?

2019.07.11

 借金の支払いに困るから相談するわけで、当然、債務整理は、債務者本人のため、その本人の生活を再建するためにしなければならない。
 ところが、時々、他人がした事件処理をみると、首をかしげるものもある。
 今日の相談もそうだった。
 今日の女性は、国保税の滞納分が夫婦で170万円近くになっていた。自宅も市に差押されている。話を聞くと、過去に夫が無職だった時期があり、その頃にサラ金から借金をして多重債務になった。親戚の知り合いに頼んで債務整理をした。それは数年かかって何とか完済したが、その期間、国保税の支払いをおろそかにしたために、その滞納額が膨らんだ、というのだ。サラ金の債務整理の時点で、返済継続を選択するのではなく自己破産の選択をするべきであったのではないかと思う。
 そういえば、過去に、多重債務になりある弁護士事務所に依頼をした。そこの弁護士は原則として破産をさせない弁護士で、その人にもリスケによる返済(任意整理)をさせた。その人はしばらく返済を続けたが、資金がなくなり生活にも困り、結果として盗みをしてしまったという泣いてしまいたくなる事件もあった。任意整理が自己目的化しているのではないかと思う。
 債務整理は、個人的には様々な弁護士業務の中でも、そんなに難しくはない。ただし、その手段の選択を誤るととんでもないことになる。特に債務者の生活再建を軽んじて仕事が自己目的化してしまうととんでもない被害を受けることになる。依頼者も、勉強するべきで、弁護士とじっくり話しをしながら、解決手段を考えることが重要だ。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事

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