雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

ある債務整理専門法律事務所の話

2019.04.25

 ある女性のお客さん。

 借金の返済に困って、マスコミで大々的に宣伝している法律事務所に電話をした。電話で応対したのはもっぱら事務職員だった。関係書類の受け渡しはすべて郵便。しばらくして1回だけ弁護士と電話で話した。その後も対応は事務職員だ。金融機関6社総額3,000,000円の任意整理(長期分割契約へのリスケ)に弁護士費用が約500,000円、どうにか月額返済を50,000円程度にしてリスケをしてくれたようだが、現在の家計からは支払えない。「支払が難しいのですが」と問うと、電話の事務職員は「苦しいのなら破産するしかないですよ」と事務的な回答をされた。弁護士に頼んでも何の解決にもなっていないと駆け込んできた。

 一番疑問に感じたのは、弁護士が女性と直接面談していないことだ。日弁連で2011年に定めた「債務整理事件処理の規律を定める規定」には「弁護士は、債務整理事件を受任するにあたっては・・・当該債務者と自ら面談」しなければならないとしている。いわゆる面談義務である。弁護士は、債務の内容や資産、収入、生活費その他の生活状況を聞き出してその相談者にもっともふさわしい解決策を考える必要がある。これは電話や郵便などでは無理で相談者と直接の対話が必要だという事から定められたものだ。

 女性が依頼した弁護士事務所は、この面談義務規定に違反している。しかも、この弁護士事務所、「「面談することに困難な特段の事情がある」から面談ではなくて電話相談でいい」というような念書まで女性に差し出させているようだ。面談義務違反を免れるための証拠作りまでしていることになり、悪質だ。

 債務整理事件はどんな弁護士でもそれなりにできる。地元の弁護士で十分です。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事

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