債務整理:「多額のお金の支払い」は専門家の話を聞いてから。
80を超える老夫婦が来た。
老夫婦の自宅に、東京で暮らしていて音信もしばらく途絶えていた娘から電話がきた。「借金を支払えという督促状が裁判所から来た。困っている、支払をしてくれないか」
娘にはとりあえずその書面を送れと言ったら送ってきた。本物かどうかわからないので弁護士事務所に相談に来たという。
私が確認したところ、それは100万円の支払督促の書面で本物に間違いない。しかし、もう既に確定しまっている。
夫婦にこれをどうするのか確認したところ、「娘は他にも借金があってとても支払いはできない。他人に迷惑をかけられないから自分たちが支払うしかない」と答えた。
でも、年金暮らしの老夫婦に100万円を支払わせるのはその夫婦の生活を困窮させるだけだ。しかも娘さんが多重債務だとしたらまた同じようなことが起こるだろう。100万円の支払いをしても何の解決にもならない。まずは娘さんの生活や債務の状況を聞いて債務整理を促すのが先だろう。だから、ひとまず娘さんを連れてきて一緒にもう一度打合せをしてみませんか、という助言をしたところ、老夫婦も納得してくれた。
特殊詐欺、オレオレ詐欺、とこれは似たような話だ。騙されてはいないが、一つ間違えば、ムダなお金を支払って老夫婦が自らの首を絞めることになるところだった。
「多額のお金の支払い」を迫られたら、まずは落ち着いて専門家の話を聞いてみてほしい。と思っています。