雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

副業の未来は明るいのか?

2019.02.02

最近、副業をしている人が増えているなあと感じてます。交通事故の事件で休業損害の計算をするのですが、副業収入も損害として認められるかという相談が最近あるのです。もちろん、理論上は認められますが、副業の場合、源泉徴収票が交付されていないことなどで損害の立証が困難なこともあるのです。

 

副業について、政府はキャリアの育成、労働力不足の解消に繋がるとして副業を広げていく考えです。マスコミも、その施策を「副業元年」と好意的に喧伝しています。

 

しかし、私が知っている方々は、少ない本業収入では生活できないためにやむを得ず副業をしているに過ぎません。

 

そして、労災保険や雇用保険も、副業の働き手を十分に守れる仕組みにはなっていません。「1社」を前提にした仕組みになったままだからです。例えば、雇用保険は1社に続けて31日以上雇われ、週20時間以上働く人が対象です。ところが、A社で週15時間、B社で10時間働く人は合計で週25時間働くことになりますが、いずれも単独では週20時間に満たないため、失業しても給付金はもらえません(朝日新聞2018年11月26日)。

 

副業は、企業にとってどうなのでしょうか。たしかに労働力不足の解消に繋がる側面はあるでしょう。しかし、副業を認めれば、副業をする労働者の労働時間は増加し、必然的にその分休息の時間が少なくなることになります。副業する従業員を抱えた経営者には決してプラスとばかりはいえないでしょう。

 

結局、セーフテイネットがなく、労働時間の規制もないままに、副業をする労働者がただただ増加していくということは社会が疲弊していくだけのように思えます。これを政府が許容し推進しようとしているのが理解できません。政府は社会を安定的に持続させることが使命であると思うんですが。

馬場秀幸  カテゴリー:その他

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