雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

宮口幸治 『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)

2019.12.21

センセーショナルなタイトルで気になり読みました。きわめてまっとうなことが書かれています。
本を要約すると次のような内容になります。
「発達障害や知的障害を持った子どもたちには認知機能に弱みがある。こういう場合には、思考のゆがみを正そうとする認知行動療法を施しても効果がない。反省を迫っても効果がない。反省以前の問題なのだ。むしろ、認知能力を高めるトレーニングが必要。
 発達障害・知的障害は、少年院に収容されてそれに気づかされ、治療的処遇を受けることになる。しかし、そうでない人たちは障害があることに気づかれないままに社会で放置されていることになる。認知能力のトレーニングは学校教育でも必要。受刑者の一人でも納税者に変えることができるとした大きな経済効果。「困っている子ども」の早期発見と支援が必要だ。」
 本書は、犯罪の原因を突き止めてそこから犯罪を予防する対策に目を向けるべきだということを提言しています。現在、少年犯罪について厳罰主義が唱えられて少年法の適用年齢の引き下げもなされようとしています(厳罰と言っても、それは罪の意識を感じることが可能な人に向けられて初めて意味があるのですけどね)。厳罰を課しても予防的効果が果たして意味があるのか?そんなことを考えさせてくれます。

馬場秀幸  カテゴリー:書籍