11月24日 統一教会が家庭教育を支援する?
統一教会が家庭教育を支援する?
2006年に教育基本法が改正され「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」との条文が新設された。
そしして、自民党は、2012年に発表した憲法草案に家族保護条項を設けた。「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は互いに助け会わなければならない」同時期に「親学推進議員連盟」(発足時の会長は安倍晋三元首相)が発足し、家庭教育支援法の制定を掲げる。
統一教会も、支援法の制定のために各地の自治体で意見書採択の請願運動を展開したり、制定法の前に各県で家庭教育支援条例を制定しようということで働きを強めてきた。
意見書を可決した自治体が最も多い熊本県では、教団の友好団体の幹部を務めていた男性が立ち上げた団体が意見書を求める請願の提出者になっていた。
家庭教育が大事とか、家族を尊重するべきということについて反対する人は表立っていないだろう。しかし、家庭や家族のことを法律や憲法に書き込むべきものかというと、それは少し違うのではないかと思う。
家族の尊重を憲法に書き込むというのは、憲法が保障する個人の尊重を否定することと同義である。また、それは家族の一員についてはすべて家族が責任を負うということにつながり、社会や国家の責任を否定することになる。これは、憲法25条の社会権への否定と同義である。
同志社大学の岡野矢代教授は、「家族は、子どもや高齢者といった社会で最も弱い人を抱える集団であることも多い。すべて自分たちで責任を取れというのは、政治の在り方としていびつ」「日本では家族のことは家族任せとし、他の家族にはなるべく介入しない社会が築かれてきた」「自己責任論には政治責任を免除する効果があり、それこそが問題の核心」と批判的である(朝日新聞2022年9月5日、岡野八代「家族が負う 政治が放棄した責任」)。