雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

11月23日 統一教会の信徒二世の法律問題

2022.11.23

 山上容疑者の話になるが、彼はは、親が資産をすべて教会に捧げたために進学すらできなかった。そして、兄や妹のために、生命保険を兄や妹のためにかけて、彼らのために自分の命まで犠牲にしようとした。信徒二世の被害の実態はすさまじく切ない。
 全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士さんたちが書いた『統一教会との闘い』(旬報社)には、次のような被害の実態が報告されている。
被害の実態:①生まれた時から両親の信仰を強制される、②婚姻前の恋愛の禁止、信者以外との結婚禁止、③学費負担拒否、④服装、下着、体毛処理、外出等の生活のすべてを管理、⑤親の指示に従わない場合の鞭などによる体罰、⑥親の指示に従わない場合の監禁、軟禁、⑦布教を優先した育児放棄、⑧「悪魔、死ね」等の暴言、⑨体調不良時に病院への付き添い拒否、⑩二世であるおとを理由にした差別、いじめなどなど、実に様々な人権侵害を受けている(同166ページ)。。
 最近、教会信者同士の養子あっせんが1985年度以降から現在まで745例あったと報告されている。これも、子への配慮が全くなされていない。
 子どもの権利条約14条は「締約国は、思想、良心及び宗教の自由について児童の権利を尊重する」、両親の子どもに宗教教育を行う自由は認められるがそれは「児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法」によらなければならない(同18条4項)としている。二世問題については、児童福祉法、児童虐待防止法に基づき適切な対応が望まれる、と全国弁連は訴えている(同166~167ページ)。
 子は親を選ぶことができない。生まれた時から親の宗教に付き合わされることは自由な意思決定ができないことと同じである。

馬場秀幸  カテゴリー:その他仕事