2月3日 最近の離婚事件
最近、離婚事件については、男性からの相談を受けることも多くなった。大雑把に類型化すると二つ。
1 妻から離婚を言い渡されたが、離婚する気はなれない。
男性の相談者の多くはどうにかならないかと相談をもちかける。しかし、妻が三行半をつきつけることは余程の決意をもったからであり、もう相談されても復縁を求めるのは手遅れの状況である。どうにかならないかと言われるが、好き嫌いの感情は人間の自発的感情なんだから、法律でどうこうすることなんてできないよというのだが、なかなか理解してもらえない。
2 夫が離婚したいのだが、夫に婚姻破綻に責任がある、或いは婚姻破綻の認定が微妙な事例。
一方に破綻の責任がある場合には、他方が同意しない限り離婚は認められない。また、破綻かどうかがはっきりわからない場合(性格の不一致で別居して2~3年、その他に特段の離婚事由なし)も離婚が裁判で認められるかどうかはわからない。
こういう場合、弁護士も今後の見込みははっきりしたことはいえない。ただし、一方の離婚の意思の固いことがわかれば、他方もそれでも離婚したくないということを言い続けるのは結構心理的に辛いものである。裁判所も、法律的に離婚原因があるかどうかはわからない。でも、この夫婦は元の鞘に収まらんだろうなあとは考えるだろう。そういう場合、離婚請求を棄却することにはためらいを覚えるはずだ。紛争の根本的な解決にはならないからだ。こういう状況では、裁判所は和解を勧めることになる。修復ができないというのであれば、妻の離婚できない事情を汲んで解決金の支払を考えないかとおそらくは夫に働き掛けるだろう。こういう働きかけが功を奏すれば離婚も可能になる。
なお、相談を受けた際に、離婚原因がないから或いは有責配偶者だからと言って依頼をお断りする弁護士もいるが、私としてはやや疑問。夫が強い離婚意志を表明して行動を起こすことにより、妻のかたくなな気持ちにも変化が現れる可能性もないではないからだ。現時点の状況だけで予測を立てず、事後の行動などを考慮した時間軸を広げた観点から事件の見込みを詳細に立てた方がいいのではないかと思う。