4月25日 裁判所の調停委員には外国籍の人がなることはできないこと知っていますか?
最高裁は、外国籍である人を調停委員にすることを認めていない。理由は、調停委員は公権力の行使や国家意思の形成に関与する公務員に含まれる、というものだ(朝日新聞2022.4.20「調停員 外国籍認めぬ最高裁」。
しかし、この運用は、おかしいと思う。
調停は、紛争がある当事者の意見を聞き出して相互の調整を図るものである。そこでの調停委員の仕事は、当事者間の調整や説得が主な業務である。しかも、調停は、家事調停も一般の民事調停も、調停委員会が行うことになっている。そして、その調停委員会には、裁判官が必ず含まれている。実際の調停委員会では、裁判官が法律の専門家として議論をリードする。裁判官は調停の進行で中核的な役割を果たしている。調停条項は、紛争を成立させた国家意思の表明ともいえるが、それは当事者の同意や調停委員のあっせん、裁判官の法的判断などの上に成り立つものである。外国籍の調停委員が入ったところで、日本国家の意思形成の妨げになるといえるのだろうか?最高裁の外国籍の人を排除するという運用はは余りに現実と乖離したものと考える。
しかも、日本には現在300万人近い外国人が暮らしているという。これからもその数は増える。調停には当然外国籍の人が当事者になったり、外国籍の人たちが抱える固有の問題が調停事件で取り上げられることも予想される。調停委員は、実際には多様な職域から推薦されて最高裁が任命されることになっている。外国籍の人の生活や暮らしに精通している人が選ばれることも当然に必要だと思われる。