5月13日 依頼者の利益を守るということ
弁護士は、依頼者の利益を守ることが仕事である。そうは言っても依頼者とぶつかることがよくある。
たとえば、こんな事件があった。
依頼者が子の親権者となることを主張し、子と相手方との面会交流を制限することを希望していた。他方、相手方は、面会交流に配慮してもらえれば、親権者については当方に譲歩する姿勢を示してきた。つまり、➀親権者の定め、➁面会交流の内容 が論点である。よくある話だ。
私は、親権者の決定(➀の論点)を優先させて、面会交流(➁の論点)については相手に譲歩して早期解決を図るべきだと主張したところ、依頼者がその方針に異議を唱えた。
依頼者は、子が相手方を怖れている、面会交流を自由に認めることはできない、という。私は、面会交流についてこちらが譲歩しないと話し合いが平行線になり事件が長期化する、面会交流を認めても、子が面会に消極的であるならば、面会できない事情を説明すればよいではないかと言った。
依頼者の考えは二つの論点を一回で根本的に解決したいというものだ。これに対して、私の考えは、親権を早期に確定させて、面会交流の解決はその時々の面会で解決すればいいというあいまいな戦略であった。
正直、どっちの考えが最善なのか今もわからない。
こういうことはよくある。最善の解は簡単には見つからない。依頼者に不信感をもたれることもある。自分の考えを伝えて理解を求める他ない。