6月3日 コロナのとばっちりその17 その弁護人の気持ちよくわかる!
「マスクをつけて弁護はできない」
2カ月ぶりに再会された東京地裁での裁判員裁判。裁判官や裁判員、検察官らはマスクをつけたが、弁護人がマスクを拒否。開廷直後、裁判長が弁護人に「マスクをして頂けませんか」と要望したが、弁護人は、「感染拡大を防ぐのは大事だが、(被告人の)人生を決める重大な裁判、マスクをすることは難しい」と応じなかったそうだ(朝日新聞2020.6.3)。
この話、わかるなあ。
裁判では、被告人の態度そのものが裁判官の心証形成に影響を与える。それだけではない。判決は、被告人の人生を左右する。はっきりとした声でその判断や理由を裁判官は法廷で明確に伝えるべきなのだ。だから、法廷でマスクをつけるのはおかしいと正直思っている。
私も、どうなるのかと最近思ったことがある。3月23日にあった刑事裁判の判決日だった。裁判官はマスクをして判決文を読み上げるのだろうか?それは困るぞ。被告人や傍聴人がよく聞き取れないかもしれない。マスクをして読み上げようとしたら、その前に意見を述べようか?どうしようか?と迷ったことがあったのだ。
幸い、現れた裁判官たちはマスクを着用されていなかったので、安心した。でも、3月23日は傍聴席は2席開けながらの着席を余儀なくされたため、傍聴人は10人程度しか入れなかった。裁判所もコロナウイルス対策に神経を使っていたから、マスクを着用して朗読をしますと言われたら、こっちも強いことを言えなかったかもしれない。今から思うが、裁判官も、マスクを着用しようかどうしようかと、いろいろ熟慮されていたのではないかと思っている。