雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

8月 1日 特養「あずみの里」事件で逆転無罪判決その4

2020.08.01

 介護の現場での事件は慎重な捜査が必要だと前回述べた。もう一つだけ。
 
 介護現場で高齢者の事故があると、家族のクレームに介護施設が悩まされることがある。家族は施設に利用者を預けていてその介護の現場で何が起こったのかはわからない。どうしても施設側に落ち度があったのではないかと思ってしまう。ある意味それは仕方のないことだと思う。

 事故がいたずらに関係者間の紛争にならないためには、施設の施設長などの役割が特に重要だと思っている。まずは利用者はその家族に説明を尽くすことだ。そして、いわれのないクレームに対しては毅然と対応して職員を守ることである。
 
 しかしながら、現場をみるとお役所のOBの方々が介護施設の要職についている。これは、おそらく役所と交渉することが多いことから、そういう業務に手慣れたり役所に顔がきく人がいいという要請からだと思う。それはたしかに必要だろう。しかし、施設長などの管理職は単なる名誉職ではない。介護の現場では常に事故が起こりうる。現場に絶えず目配りをし、いざという時には懇切丁寧に利用者に説明をし、ある時は体を張ってでも職員を守る。こういう役割がある。

馬場秀幸  カテゴリー:その他