雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

8月 2日 人間は強い時もあれば、弱い時もある。

2020.08.02

 8年前にALSを発症した医師の竹田主子さんは、こう語る。
「ALS患者でも無限に活動的になれる。国内外を飛び回って活動する人、介護事業所を立ち上げた人、子育てや孫育てをする人もいる」「大半の医師はこうしたALS患者の心の動きや生き方を知らない。医学部では病気のメカニズムしか教えないからだ」「人間は強い時もあれば、弱い時もある。もし患者が「死なせて」と発したらなぜそう思うのか寄り添って耳を傾け、つらいことを解決する手段があれば全力でサポートしてほしい」(朝日新聞2020.8.1「生き方と心とALS知って」)
 
 仕事上のお客さんで何度も自殺未遂を繰り返す女性がいた。事件が終わって繋がりがとだえた。その後しばらくたって自死されたという話を風のうわさできいた。女性と話をしていた時は、死にたいという感情を感じ取ることもなかった。だから、本当に死を選んだのだろうかと今でも疑問に思っている。

 竹田さんが言うように「人間は強い時もあれば、弱い時もある」。何もかもが面倒になって何も聞こえてこない真っ暗な静謐な環境こそがいいと思う時もある。ただ、ずうっとその願望に支配されているわけでもない。誰かと話をして気が変わり、やや喧噪としているが、人と交わってみるのもいいなと思う時もある。弱い時の意思がその人の継続する意思或いは真意であるとは限らないと思う。

 だから、安楽死・尊厳死の議論は慎重に慎重に。

 
 

馬場秀幸  カテゴリー:仕事