8月10日 立ち食いソバの話 その2
暑い日が続く。
昨日、立ち食いソバ屋で働く女性の姿が美しいと書いた。
それは、女性に限らない。
40年も前。ボクは高校を卒業して東京に来て浪人生活を送っていた。横浜市緑区にあった予備校の寮に住み、田園都市線を利用して渋谷で下り、井の頭線に乗り換えて池ノ上で下りて河合塾に通っていた。毎日渋谷駅を利用していたことになる。
ソバ屋ではないのだが、その渋谷駅の構内にあったスタンドラーメン屋が忘れられない。
立ち食いソバのソバは既に用意してあるゆで麺を速攻でお湯でほぐしてすぐに客に提供する。とにかく早い。しかし、ここのラーメンは違った。自動回転式麺ほぐし機(私が勝手に名付けた)が厨房の真ん中にデカデカとある。その機械は、10個程度の麺をそれぞれのザルに入れてゆっくりと回転しその間お湯につける。ソバとは違い、どうもほぐすのに時間がかかるからのようだ。できた順にメンを醤油スープの入っているドンブリに入れ、そしてシナチク、ナルト巻、チャーシュー1枚を入れて客に手渡す。たしか5人くらいの労働者がいて、一人が頭になってその現場を仕切っていた。その流れ作業の見事な事。これによって、ひっきりなしに来るお客に手際よく迅速にラーメンを提供してくれていた。その機械的流れ作業の美しさにいつも感動しながらラーメンをすすっていた。
もう、それから年月が経った。しかも渋谷駅は再開発されて、その当時すらわけがわからなかったのに、なおさら迷路のようになってしまった。今はもう、あのラーメン屋ないんだろうなあ。