雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

9月16日 三者面談のこと

2021.09.16

 高校2年のときだったか三者面談があって、親父と私と先生で面談した。
 その頃は、もう東京の大学に行きたかったし、担任の先生にもそう伝えていた。
 ところが、どっこい、親父は自説を滔々と先生に向かって展開した。この子は家の跡継ぎだから東京に何て行かせるわけにはいかない、地方公務員を要請する専門の学校があるようだから、そこに行かせて、市役所の職員になってもらうんだ、というのだ。
 おいおい、「そんな専門学校なんてどこにあるんだよ」と、子である私は赤面して先生の顔すらまともにみれなかった。
 でも、今だったら親父の気持ちは何となくわかる。「長男が家を継ぐ」という観念で頭の中が支配されていた時代だった。父の頭の中もそうだった。母と結婚して、とにかく男の子が生まれることを望んだ。そして念願かなって私が生まれた(ところが、小さい頃から病気ばかりして誤算続きだったようである)。その大事な跡継ぎが東京なんぞに行ってしまったら、戻ってくるなんてこともないだろう、じゃあ誰が一体後を継ぐんだと言う話になる。それは絶対許されない。市役所或いは地元の安定した企業に就職してもらって家から通ってもらう、これが跡継ぎの子にふさわしい未来なのだ、と思っていたのである。
 しかし、自分は、その時はそんな親に気遣いすることなどまるでなく、あえて喧嘩を吹っ掛けるかのように自分は東京の大学に進学したいと言った。そして、担任の先生も「頑張れ」と励ましてくれた。親父はなんて奴らだろうと思っただろう。
 親の期待通りにはいかないものである。

馬場秀幸  カテゴリー:その他