雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

9月15日 親父はヘビースモーカー

2021.09.15

 父はヘビースモーカーだった。
 一日に一箱から二箱分の「ハイライト」を吸っていた。もしかしたら二箱かもしれない。私は、子どもの頃から父の吸ったタバコから出てくる煙を吸ってきた。受動喫煙少年だ。煙草の匂いはいいのだが、出てくる煙はまったくダメ。大人はなんであんな煙を吸い込むのか、子どもの私には理解できなかった。
 高校になると、煙草を吸っていた生徒もいたが、私はダメだった。吸っていた人をみてカッコいいなあ、うらやましいなとは思ったけれど。
 それにしても、時代は変わった。禁煙意識が次第に高まるにつれて喫煙スペースも片隅に追いやられていった。例えば、裁判所では最初は廊下の片隅に喫煙スペースがあったが、今では庁舎内にスペースはなくなり、喫煙者は吸うなら外でどうぞということになった。喫煙者がややかわいそうである。
現役時代の父は、働いてばかりの人だった。趣味などなかったが、あえていえばパチンコだろうか。パチンコにはよく連れていかれた。父の隣に座り、チューリップに玉が入ることを願う。パチコン玉が多ければ景品がもらえるからだ。しかし、見てるのがつまらなくなり、そのうちに自分でもやりたくなる。私は、フロアの床にパチンコ玉がないかどうか探す。一つや二つ必ずどこかに転がっていた。それを拾い、自分の座っていたパチンコ台に入れて遊ぶ。今から思うと決して教育とは無縁である。しかし、その時、父は私という子を連れてパチンコに行くのがおそらくは楽しかったはずだ。父の年齢になってみてそう思う。
 しかし、残念なことに、煙草もパチンコも好きになれなかった。そして、仕事も家業の農業を継ぐことはしなかった。親の期待通りにはいかないものである。

馬場秀幸  カテゴリー:その他