雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

外交もボクらの示談交渉と同じかのように思わせてくれた日ロ交渉

2019.06.03

 日ロ交渉について、安倍政権は6月の大筋合意を断念した(6月1日付朝日新聞)。
 その評価はともかくとして、交渉の過程でロシアが日本に伝えてきたという内容が面白かった。
 その内容というのは、〇北方領土を日本に返還した場合米軍基地がおかれるのではないか、〇陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージスアショア」が日本で配備(秋田が予定されている)されることになることへの懸念、などである。
 日本にしてみれば、日本の仮想敵は北朝鮮や中国だから、ロシアの懸念は杞憂だということになるのだろう。しかし、ロシアはそうは思わない。日本では当然の常識が、相手には常識ではないということが、当たり前なのだが新鮮であった。そして、そのロシアの懸念を払拭しない限りは領土交渉は前進しないだろう。
 私たち弁護士の交渉事も同じなのだ。依頼者の話だけ聞いていたのでは解決にならない。相手には相手の理屈がある。それを認識することが解決の必要条件である。
 外交もボクらの交渉事もそんなに変わりないじゃないか、とまるで新しいことを発見したような気持になる。扱う事件の規模は全然違うけれどね。

馬場秀幸  カテゴリー:その他

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