雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

藤原帰一「映し鏡の犠牲者意識」

2019.09.17

 テレビニュースやワイドショーは観ていないが、嫌韓報道はどうなったのでしょうか?
 「やるせない思いに襲われる。日本の犠牲者という認識を韓国国民が共有し、その韓国の訴えが国際合意を踏みにじる行いとして日本で伝えられるとき、「われわれ」は「やつら」の犠牲者だという認識が両国で加速し、鏡で映しあうように犠牲者意識とナショナリズムが高揚してしまう」(藤原帰一「映し鏡の犠牲者意識」朝日新聞2019年2月24日付)。半年前のこの論稿は基本的に変わりがない。むしろ、日本がいたずらに自分で自分の尻に火をつけて被害をあおっているようにさえ思える。
 「歴史問題では謝罪の有無が繰り返し議論されてきた。日本政府が謝罪を行ったと私は考えるが、何が起こったのかを知らなくても謝罪はできる。謝る前に必要なのは何が起こったのかを知ることだ。自分たちを支える国民意識に引きこもって日韓両国民が非難を繰り返すとき、ナショナリズムと結びついて単純化された国民の歴史から自分たちを解放する必要は大きい」
 そうだ。徴用工って何なんだ?慰安婦って何なんだ?国の言うことをそのままにボクら個人が受け売りする必要はないだろう。一人の人間としてホントウの事実を何なのかということを知ってほしい。自分が生まれる前の話なのに「日韓協定で解決済み」だなんて知ったかぶりしなくていいじゃないか。一人ひとりが冷静に事実を知ろうとすることが今必要だと思う。国が言うほどに世界の事象は単純ではない。

馬場秀幸  カテゴリー:その他