雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

10月19日 時効の制度 その1

2022.10.19

 時効という制度をご存じですか?
 ある一定の期間を経過すると、権利を取得したり、或いは権利が消滅したりする制度です。
 例えば、他人の土地であったとしても、その土地を所有の意思を持って10年或いは20年占有していると、所有権を取得することができます。これが取得時効といって、権利を取得できる制度です。他方、100万円の貸金があっても、権利行使できるときから一定の期間行使していないと、時効を理由にした権利の消滅が認められてしまうことになります。これを消滅時効といいます。
 時間の経過を理由に権利を取得させたり権利を認めないことにしてしまうのです。「時効」というのは聞きなれた言葉かもしれませんが、権利があったのにそれを失う人にとってみればかわいそうな話であります。泥棒やごまかしを認める制度とも批判されています。
 時効制度の理由については複数あります。①永続した事実状態を尊重する、②訴訟での立証困難性を救済する、③権利の上に眠れるものは保護しない、などなどです。
 さて、この間、ある依頼者の要請に基づいて消滅時効の主張をしたら、その相手方から「時効と言って債務を支払わないで解決するなんでいい加減ですよね。」と言われてしまいました。正直、失礼な奴だと思いましたが、たしかにその話には一理ある、まさに「時効」はごまかしを認めるようなものではないか?ということです。では、自分はそんな悪人に手を貸していることになるのだろうか?少し悩みました(続く)。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事