雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

10月31日 自白事件の弁護

2022.10.31

 今日は新潟の本庁の裁判所で刑事事件の公判審理があった。
 自白事件の弁護だ。
 自白事件の弁護で必要なことは、⑴被害者がいる事件では被害回復に努めること、⑵被告人を反省させること、⑶情状証人を出廷させて被告人の監督を誓約させること、である。このうち、被告人を反省させるという仕事は何年弁護士をしていても難しいなあと実感する。
 被告人が心の底から反省していないと、又悪事を働くのではないかと裁判官は考える。なので、裁判官が安心するような発言を被告人から引き出すことが、弁護人の仕事である。ただし、それが弁護人という立場上その仕事が難しいこともある。
 弁護人は、被告人の味方である。味方だというのであれば、被告人の弁解をそのまま裁判所に伝えるのが自然である。
 しかし、被告人が罪を渋々認めていても自分の責任を軽く考えていたり、他人に責任を転嫁している態度をとるときがある。それが事件の筋からして不自然なときには被告人の弁解を裁判官に伝えたところで、裁判官は被告人が反省をしていないと考える。
 そういうときは、弁護人としては被告人に対して厳しい質問をぶつけなければならない。被告人の軌道修正を図ってあげるのだ。それも、被告人のことを慮ってのことである。
 こっちの本心をわかってくれる被告人もいれば、「あなたいったい誰の弁護人なの?」となかなか理解してくれない被告人もいる。

馬場秀幸  カテゴリー:その他