雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

12月1日 おばさん。

2021.12.01

 ボクのおばさんが88歳で亡くなった。
 おばさんは、ボクの家で生まれ、市内の精肉店に嫁いだ。
 店は繁盛していたが、途中で夫が脳梗塞で仕事ができなくなり、店を一人で切り盛りするようになった。また、次男を事故でなくした。苦労ばかりの人生だったにもかかわらず、私たちがいつ店を訪れても優しく接してくれた。おばさんがクリスマスに作っていたローストチキンは冬の街の風物詩にもなっていた。
 思い出すのは小学生に入ったばかりの頃のことだ。祖母に連れられて街に出てきて食堂でうどんを食べた。そのときに唐辛子を入れすぎて、なぜか目が腫れて見えなくなり、歩くこともままならなくなった。祖母が慌てて、叔母さんの店に飛び込んだ。叔母さんは1キロくらいある病院まで私をおんぶして走って連れて行ってくれた。今でもおんぶされたときのことがうっすらと記憶に遺っている。
 数年前に店を閉じた。仕事をしなくなってからは体も弱くなった。施設に入ってからは会うこともなくなった。葬儀も簡素ではあったが亡くなった次男の子どもたちが、おばさんの遺影にたくさんの花を添えてくれた。その人の体はなくなったとしても、その人の優しい心は他の遺された人たちに記憶になって伝えられていくのだろう。

馬場秀幸  カテゴリー:その他